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■韓国で「日本企業採用博覧会」求人100人に1600人集まる
 28日午後2時、ソウル市江南区内のコンベンションセンター「COEX」で行われた「Career in Japan日本企業採用博覧会」の会場。控え室は書類審査を通過して面接を待つスーツ姿の求職者たちでいっぱいだった。日本語を専攻したキム・ヘリさん(24)は「韓国国内で人文学系大学・学部卒業生が就職するのは夢のまた夢。就職難が深刻な韓国ではなく、好況で求人難の日本で就職先を探す人が周囲に多い」と語った。

 4回目を迎えた今年の「日本企業採用博覧会」(韓国貿易協会主催)には、日本企業42社が約100人を選考するのに対して、志願者だけで約1600人が集まった。競争率は16倍を上回る。韓日関係が最悪の方向に向かっている状況で、仕事を探すため日本に行く若者たちが行列しているのだ。韓国貿易協会だけでなく、大韓貿易振興公社(KOTRA)・釜山市も「日本採用フェア」を開く。「雇用政府」をうたう現政権で過去最悪の青年失業難が続いているため、日本企業にSOSを出しているということだ。

 現在の韓日間就職状況は明暗がはっきり分かれている。日本の大学新卒者就職率は98%。卒業見込み者のほとんどが就職可能な完全雇用水準だ。一方、韓国の昨年の大卒者就職率は66.2%。求職者1人当たりに求人が何件あるかを意味する有効求人倍率で、日本は先月1.62倍とし、1970年代以来44年ぶりの高い数値を記録した。だが、韓国は0.57にとどまっている。

 このような状況で、かなりの求職者が、最近の韓日関係によって「日本での就職」という道すら閉ざされてしまうのではないかと懸念している。採用博覧会で会ったある求職者は「過度な『歴史問題』論議で韓日関係が壊れ、日本企業すら韓国人の採用を減らすのではないかと心配しているのが正直なところだ」と打ち明けた。

 この「日本企業採用博覧会」では、P&Gジャパンやデンソーなど日本企業のブースが見えた。これらの企業の初任給は21万円前後だ。韓国の大企業の初任給は300万ウォン(約28万円)を超える。日本のコンサルティング会社PwCから来たゲンスケ・カネボ氏(音訳)は「本社で働く韓国人社員の活躍が目立つ。今後も優秀な韓国の人材を採用する計画だ」と語った。

 国内労働市場が冷え込んでいる中、日本企業は韓国の求職者たちにとって一筋の光となっている。日本の厚生労働省の統計によると、日本で就職した韓国国籍者は2013年の3万4100人から昨年は6万2516人へと5年間で約2倍に増えているという。

 特に就職が難しい地方の求職者にとって、日本は「恵みの雨」だ。釜山市は29日から二日間、「日本企業人材採用説明会」を釜山市庁で開く。藤田観光やWBFリゾートなど日本の「スモール・ジャイアンツ企業」(大企業ではないが事業が順調な企業)計14社が参加する。釜山市は先月も「釜山青年日本就職フェア」を開催した。この時は38社が70人を採用した。大邱市内の永進専門大学は「日本IT企業就職クラス」を設けている。この大学は昨年、約50人をソフトバンクや楽天などの日本企業に就職させた。

 しかし、最近の韓日関係がこうした「日本での就職」という流れの障害となる兆しが現れている。特に、韓国の裁判所が強制徴用関連で三菱や新日鉄(現:日本製鉄)などに対して賠償判決を下して以降、両国国内の反日・反韓感情が韓国人求職者と日本企業の双方に負担となっている。28日にソウル市内のCOEXで開催された日本企業採用博覧会には、「戦犯企業」と名指しされる住友グループ系列の「住友商事」などの名前も見られた。ある求職者は「今は敏感な時期だから、日本企業に入社を志願したということは周囲の人たちに話せない」と言った。