http://blog.livedoor.jp/kemmaarch/archives/65783559.html 

2週間ほど前に内閣府職員がボートで死亡しているのが発見されたというニュースが流れた。国際会議に出席するために留学先のアメリカから韓国に渡っていた職員が、なぜ北九州に漂着したゴムボートの上で死体で発見されたのか。当初は様々な憶測が流れて、工作員などの関与も疑われたが、青山繁晴氏によると、どうも家庭の事情だったらしいということがわかって来た。この職員は家庭の事情で日本にどうしても帰ってこなくてはならない状態だったが、国家公務員の研修として留学していたため2年間は日本に帰ってこられない決まりになっていたらしい。そこで、ゴムボートを使って、韓国から日本に潜り込もうとしたのだが、失敗してしまったのではないかという話で落ち着いて、このニュースは取り上げられることもなくなった。

私は当初、テレビの番組などを見ていて、すべてのテレビ番組が釜山〜北九州と北九州を強調していることに違和感を感じていた。なぜ北九州ではなく、釜山から対馬に行こうとしたと言わないのだろうと不思議に思っていたのだが、そんな私も、内閣府職員が家庭の事情で日本に来たがっていたという話を聞いて、それ以上興味をもってこのニュースを見ることもなくなった。

さて、その事件。どうなったのか今まで調べていなかったのだが、調べてみて驚いた。実は釜山から密航斡旋組織の漁船を利用して対馬に渡り日本に入ろうとしていたことが日本の警察によって確認されていたらしい。

内閣府職員ボート不審死、密航あっせん組織経由で漁船利用か―韓国メディア
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140210-00000031-rcdc-cn

2014年2月10日、国際会議への出席という名目で韓国に入国した後、日本の海岸で遺体となって発見された内閣府の男性職員について、日本の警察は、密航をあっせんする組織の助けを借りて漁船を利用したものとみて、捜査に乗り出した。韓国・朝鮮日報(中国語電子版)が日本メディアの報道として伝えた。

別の日本メディアも、「男性職員が釜山から漁船に乗り、対馬近海でゴムボートに乗り換えて、日本への帰国を試みたことを、日本の警察が確認した」と報じた。

このニュースは実は大変なニュースだと思うのだが、なぜ大々的に流さなかったのだろうか?私が見落としていただけなのかもしれないが、少なくともトップニュースにはなっていなかったと思う。

私はこの事件は一面トップに持って来てもおかしくない大事件だったと思う。何がそんなに重要なことなのか。二つ理由が挙げられる。一つは釜山や韓国南部と対馬や北部九州の間で密航が頻繁になされている可能性があること。そして、もっと重要なことは、密航ビジネスとはまったく関係のない内閣府職員でも密航斡旋業者に容易に接触することができ、簡単に密航できたということ。つまり誰でも簡単に密航できてしまうのだ。これは由々しき問題だろう。

事実、密航ルートを使って韓国に逃げたと思われる男が、先日、韓国で逮捕された。日本で指名手配されていた韓国籍の男なのだが、彼は日本と韓国の出入国記録を残さずに韓国に帰国していたのだという。

豊中の強盗殺人未遂逮捕の男 出入国記録残さず韓国に
http://hosyusokuhou.jp/archives/36548171.html

大阪府豊中市の住宅で、13年前に起きた強盗殺人未遂事件で逮捕された韓国籍の男が、
事件後、日本と韓国の出入国記録を残さず、韓国に帰国していたことが分かりました。

韓国籍のキム・ジュヨン容疑者(49)は2001年、知人の男と豊中市の住宅に
押し入り、住人の女性(当時70)と、たまたま訪れていた保険代理店の男性(当時61)
に暴行を加えて現金などを奪ったうえ、家に火をつけた疑いが持たれています。

キム容疑者は指名手配され、13年近く逃走していましたが、韓国で暴行事件を起こした
ことから帰国していたことがわかり、去年、韓国当局がキム容疑者を見つけました。

しかし、豊中の事件の後に日本と韓国に出入国の記録は残っておらず、警察は、
韓国に帰国した時期や方法について調べる方針です。

この男がどのようなルートで韓国に渡ったのかはまだわかっていない。ただ飛行機で密航したということは有り得ないから、やはり漁船などで韓国に密航したと考えるのが自然だろう。とすると、北部九州〜韓国南部が一番可能性が高い。韓国南部・釜山〜対馬・北部九州の密航ルートは易々と行き来できると思う。だから密航斡旋組織に接触さえできれば、日本で犯罪を犯し韓国に逃げるということを繰り返すのも容易だろう。実際、日本で犯罪を犯して韓国に逃げるヒット・エンド・ラン型の犯罪も指摘されてきたわけで、密航ルートの摘発が、そのような犯罪を抑止するのに有効であるなんてことは容易に想像できる。それなのに、内閣府職員不審死の報道では、内閣府職員が密航斡旋組織の漁船によって対馬に渡ろうとしたということまで報じているのに、なぜか密航ルートの存在を大々的に報じているようには見えない。それでは問題の本質をとらえた報道とは言えないだろう。

内閣府職員の不審死と豊中市の強盗殺人未遂事件の密航男。この二つの事件はたまたまニュースで報じられた氷山の一角であって、密航の実態はもっと根の深い問題をはらんでいるのではないだろうか。それを放置しておくと、もっと深刻な事態に発展してしまうような気がする。今からでも遅くはない。韓国と九州の間には容易に行き来できる密航ルートが存在してしまっているということを、多くの日本人が認識し、きちんとした対策を国がとっていくように国民全体で声をあげていくべきではないだろうか?